【準備編】note.006 "ロットと損益計算"

こんにちは、皆さん。今回は、FXでの損益計算について詳しく解説していきます。損益計算は資金管理の要であり、これを理解していないとトレードでの成功は難しいです。この記事では、損益計算の基本的な部分から応用まで、誰でも分かるように丁寧に説明していきますので、ぜひ参考にしてください。

第1部:損益計算の基本

損益計算の要素

FXの損益計算は、以下の3つの要素を基に行われます:

ポイント

損益=ピップス×ロット数×1ピプスの価値

これらを掛け合わせることで損益が計算されます。まずはそれぞれの要素について詳しく見ていきましょう。

ロット数

ロット数とは、取引する通貨の単位を指します。例えば、1ロットが100,000通貨の業者もあれば、10,000通貨や1,000通貨の業者もあります。使用する業者に応じてロット数を確認し、それに基づいて計算します。

海外口座の場合は1スタンダードロット=100,000通貨としているところが多いと思いますので、今回は1ロット=100,000通貨という設定でお話したいと思います。

もし、国内口座を利用している場合は、それぞれの業者が1ロット=〇〇通貨と提示しているはずなので、計算し直してもらえれば今回の公式に当てはめることができます。例えば1ロット=10,000通貨の口座の場合、「本サイトでいう1ロット」=「自分の口座でいう10ロット」という具合に落とし込んでもらえればと思います。

pips(ピップス)

ピプス(Pips)とは、Foreign Exchange(FX)市場における通貨の価格変動の最小単位のことを指します。今回計算に用いるピップスの幅は(決済レート−エントリーレート)となります。

通貨ペアによってその価値が異なりますが、一般的には、1ピプスは0.0001の動きを表します。ただし、円を含む通貨ペアでは1ピプスが0.01を表します。では、具体的な例を挙げて説明しましょう。

ドル円(USD/JPY)

ドル円では、1ピプスは0.01の動きを指します。たとえば、ドル円のレートが150.00から150.01に変動した場合、それは1ピプスの変動です。同様に、150.00から149.99に変動した場合も1ピプスです。

例:

  • 150.00 → 150.01(1ピプスの上昇)
  • 150.00 → 149.99(1ピプスの下落)

ユーロドル(EUR/USD)

ユーロドルでは、1ピプスは0.0001の動きを指します。たとえば、ユーロドルのレートが1.2000から1.2001に変動した場合、それは1ピプスの変動です。同様に、1.2000から1.1999に変動した場合も1ピプスです。

例:

  • 1.2000 → 1.2001(1ピプスの上昇)
  • 1.2000 → 1.1999(1ピプスの下落)

ゴールドドル(XAU/USD)

ゴールドドルでは、ピプスの概念は少し異なりますが、同様に最小変動単位が重要です。通常、ゴールドドルの取引では1ピプスは0.01ドルの動きを表します。たとえば、ゴールドの価格が1500.00ドルから1500.01ドルに変動した場合、それは1ピプスの変動です。

例:

  • 2300.00 → 2300.01(1ピプスの上昇)
  • 2300.00 → 2299.99(1ピプスの下落)

まとめ

  • クロス円通貨(例:USD/JPY): 1ピプス = 0.01
  • 上記以外(例:EUR/USD): 1ピプス = 0.0001
  • ゴールドドル(XAU/USD): 1ピプス = 0.01ドル

ピプスはトレーダーにとって非常に重要な概念であり、取引の結果を評価する際の基本的な単位となります。価格変動をピプス単位で理解することで、リスク管理や利益計算がより正確に行えます。

1ピプスの価値

1ピプスの価値は、通貨ペアと取引数量によって異なります。一般的な計算方法を以下に示します。

ドル円(USD/JPY)

1ピプスの価値=(100,000通貨)×0.01=1000円

ユーロドル(EUR/USD)

1ピプスの価値=(100,000通貨)×0.0001=10ドル

※この場合、決済通貨(〇〇〇/△△△の△△△の通貨)の単位となります。

ゴールドドル(XAU/USD)

ゴールドドルの場合、取引数量やレートに応じてピプスの価値が変わりますが、ここでは1ロットが100オンスの場合を例にします。

1ピプスの価値=(100オンス)×0.01ドル= 1ドル

第2部:具体的な計算方法

損益評価額の計算式

改めて、損益評価額は以下の計算式で求めます:

損益=ピップス×ロット数×1ピプスの価値

この計算式に基づいて具体的な計算を行います。

例題:ドル円での計算

例題1:

現在のドル円(USD/JPY)のレートが155.6円で、2ロット(20万通貨)で買いエントリーを行い、156.1円でエグジットした場合の損益を計算します。

  1. pips:156.1円 - 155.6円 = 0.5円 = 50pips
  2. ロット数:2ロット
  3. 1ピップスの価値:(100,000通貨)×0.01=1000円

計算式:

損益評価額 = 50 × 2 × 1000 = 100,000円

この取引では、100,000円の利益となります。

例題2:

現在のポンドオージー(GBP/AUD)のレートが1.90519で、1.5ロット(150,000通貨)で売りエントリーを行い、1.90061でエグジットした場合の損益を計算します。

  1. pips:1.90519 - 1.91561 = 0.00458(45.8pips)
  2. ロット数:1.5ロット(150,000通貨)
  3. 1ピップスの価値:(100,000通貨)×0.0001=10オージードル

計算式:

損益評価額 = 45.8 × 1.5 × 10 = 687オージードル

この取引では、687オージードルの利益となります。(これって何円なの?ってなりますよね・・)

クロス円通貨の場合は計算が楽なのですが、円以外の場合、最後に円換算する必要があります。まずは現在のオージー円(AUD/JPY)のレートを調べないといけません。今回の場合、現在の(AUD/JPY)を調べてみると1オージードル=106.048円となっていました。

損益評価額 = 45.8 × 1.5 × 10 = 687オージードル

687 × 106.048 = 72,854円

つまり、この取引では72,854円の利益となります。

少し面倒くさかったかもしれませんが。計算方法は理解いただけたでしょうか。実際は毎度この計算をしているトレーダーは極々少数だと思いますが、これから取引をするうえで、どのような計算で現在の損益が出ているかを知っておくことは非常に重要なことだと思っています。感覚でロット張って、利益を出せてしまうのも現実ですが、テキトーな感覚でトレードを繰り返していたらいつか破産してしまいます。そうならない為にも、今回の計算式は頭の片隅に刻んでおいてくださいね。

レバレッジと損益評価額

今回の計算式において、レバレッジ関係していません。つまり、レバレッジは高くても低くても同じ計算式で損益が算出されます。

レバレッジは、取引において保有できるポジションのサイズ(ロット数)を増減させるだけであり、損益計算には直接関係しないことも覚えておいてください。例えば、レバレッジが高ければ少ない証拠金で大きなロットを保有できるということです。

第3部:ロットの計算方法

ロット計算の公式

先ほどは損益計算を行いましたが、少し応用してロット数を計算してみましょう。実際のトレードではこちらの計算の方が役立つはずです。基本的なロット計算のステップは以下の通りとなります。

  1. 許容リスク金額の設定: トレードでリスクとして許容する金額を決定します。
  2. ストップロス幅の決定: 設定したストップロスのピプス幅を決定します。
  3. 1ピプスの価値の計算: 通貨ペアごとに1ピプスの価値を算出します。
  4. ロット数の計算: 許容リスク金額を1ピプスの価値とストップロス幅で割って、ロット数を計算します。

それでは先ほどと同様に例を交えてみましょう。

ドル円(USD/JPY)の例

設定:

  1. 許容リスク金額: 10,000円
  2. ストップロス幅: 50ピプス
  3. 1ピプスの価値: 1ロット(100,000通貨) = 1000円

ロット数計算:

​\begin{align*}\LARGE \text{ロット数} & = \frac{\text{許容リスク金額}}{\text{ストップロス幅} \times \text{1ピプスの価値}} \\ & = \frac{10,000円}{50 \times 1000円} \\ & = \frac{10,000円}{50,000円} \\ & = 0.2 \text{ロット} \end{align*}

ユーロドル(EUR/USD)の例

設定:

  • 許容リスク金額: 3,000円
  • ストップロス幅: 50ピプス
  • 1ピプスの価値: 1ロット(100,000通貨) = 10ドル

ロット数計算:

まず、許容リスク金額をドルに換算します。ここでは、1ドル=150円として計算します。

3000円÷150=20ドル

\begin{align*} \Large \text{ロット数} & = \frac{\text{許容リスク金額(ドル)}}{\text{ストップロス幅} \times \text{1ピプスの価値}} \\ & = \frac{20ドル}{50 \times 10ドル} \\ & = \frac{20ドル}{500ドル} \\ & = 0.04 \text{ロット} \end{align*}

ゴールドドル(XAU/USD)の例

設定:

  • 許容リスク金額: 5000円
  • ストップロス幅: 30ピプス
  • 1ピプスの価値: 1ロット(100オンス) = 1ドル

ロット数計算:

まず、許容リスク金額をドルに換算します。ここでは、1ドル=150円として計算します。

5000円÷150=33.33ドル

\begin{align*} \Large \text{ロット数} & = \frac{\text{許容リスク金額(ドル)}}{\text{ストップロス幅} \times \text{1ピプスの価値}} \\ & = \frac{33.33ドル}{30 \times 1ドル} \\ & = \frac{33.33ドル}{30ドル} \\ & = 1.11 \text{ロット} \end{align*}

まとめ

今回は、FXの損益計算について詳しく解説しました。損益計算の基本的な部分から応用までを理解することで、資金管理がよりスムーズに行えるようになります。ロット数の計算に関しては、リスク管理の中でも超重要な内容となっておりました。すこしややこしかったかもしれませんが、ご理解いただけたでしょうか。

今後、トレードを行う上で、適切なロット数を設定することは、トレードのリスクを制御することはもちろん、メンタル的にも健全なトレードを実現できるようになります。今回の例を参考に、自分のトレードスタイルに合わせたロット数を計算し、リスクを適切に管理しましょう。FXの成功は、慎重なリスク管理と一貫したトレード戦略にかかっていますので。

次回は、いよいよデモ口座を開設して、実際にトレードをしていきましょう。実際の動くチャートで売買をしてみると、これまでの説明が理解できてくると思います。それでは、また次回もお楽しみに!

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