トレードの世界では、成功の鍵を握る二つの重要な指標があります。それが「勝率」と「リスクリワード」です。これらの概念を正しく理解し、実践に活かすことで、最終的なトレードのパフォーマンスを大幅に向上させることができます。本記事では、勝率とリスクリワードの基本的な概念、論理的な考え方、計算方法、そして実際のトレードにおける活用方法について詳しく解説します。
勝率とは?
勝率とは、トレードにおける成功率を示す指標です。具体的には、全ての取引の中で利益を上げた取引の割合を指します。勝率は、次のような式で計算されます。
勝率 = (利益を上げた取引数 / 全取引数) × 100
たとえば、10回の取引のうち7回が利益を上げた場合、勝率は70%になります。簡単ですね。
勝率の考え方
まず、勝率が高いことのメリットは何でしょうか。色々と考えられますが、僕は相場に向き合うときのメンタルが安定することが一番だと思っています。
例えば、リスクを10,000円、リワードを1,000,000円というルールでトレードをするとします。大きな勝ちがくるまで、何度も何度も負け続けることになります。これって誰もがメンタルが弱りますよね。
逆にリスクを10,000円、リワードを1000円というルールでトレードをするとします。1000円を着実に積み重ねていけば良いのですから、勝率の高いトレードを積み重ね、メンタルも安定していくのは想像できますよね。
僕にとって勝率とは、このようにメンタルの安定を担保するものであり、決して「勝率が良いトレーダー=勝ちトレーダー」にはなりません。ぼくは前者のような極端なトレードもしますし、実際アリです。後ほど詳しく説明しますね。
勝率が高いトレーダーが良いトレーダーとは限りません。例えば勝率99%の人が無難に小さな利益を続けたとしても1%の時に、ゼロカットしたらどうでしょうか。結果は口座破産です。しかし、勝率だけではトレードの成功を完全に測ることはできません。勝率が高くても、各取引の利益が少なく、損失が大きければ最終的な利益は低くなります。したがって、勝率とともにリスクリワードを考慮することが重要です。
リスクリワードとは?
リスクリワードとは、トレードにおけるリスクとリターンの比率を示す指標です。具体的には、1回の取引で許容できるリスク(損失)に対するリワード(利益)の比率を指します。リスクリワードは次のような式で計算されます。
リスクリワード = 期待する利益 / 許容する損失
たとえば、1回の取引で10000円の利益を期待し、5000円の損失を許容する場合、リスクリワードは2( = 10000円 ÷ 5000円)になります。
リスクリワード比 2:1 という言い方をすることもあります。
リスクリワードの重要性
リスクリワードは、トレードの全体的な収益性を評価するために重要です。リスクリワードが高いほど、少ない勝率でも全体として利益を上げやすくなります。
たとえば、リスクリワードが3の場合、勝率が50%以下でもトレードを重ねていくと利益を上げることが可能です。少しずつ理解できてきましたかね。
勝率とリスクリワードと期待値
どのようなトレードでも勝率とリスクリワードは相互に関連しており、それらの関係を可視化することが重要です。それが「期待値」という考え方です。
数学で習ったかもしれませんが、覚えてますかね(笑)期待値は下記の通り算出することができます。とっても大事なので覚えてくださいね。
期待値 = (勝率×リワード)−(負率×リスク)
リワードには「勝ちトレードの平均利益額」、リスクには「負けトレードの平均損失額」を代入してください。
期待値の使い方は簡単で、期待値がプラスのトレードを続ければ、残高は増えていきます。期待値がマイナスのトレードを続ければ、残高は減っていきます。同じルールでトレードを続けると勝ちと負けを繰り返し、最終的にあらかじめ出ていた期待値に収束していきます。それが期待値の考え方です。
ちょっと頭の中が意味不明なことになってきているかもしれませんので、具体例を使った方が分かりやすいかもしれませんね。先ほどの例を参考に勝率とリスクリワードについて、数字を使って考えてみましょう。
まず、前提条件として「同じトレードルールを守り続ける」ということが超大切ですので、頭に入れておいてくださいね。それを守らなければ期待値を使いこなすことができませんし、結果指針が無くなり変なトレードする結末が待っていたりします。そういう時にドカンとなりますのでご注意くださいね。
それでは、一つ目に例に挙げたのはこのようなトレードスタイルでした。リスク=10,000万円、リワード=1,000,000円でしたね。これは平均値ととらえてください。そして、先ほど記載していなかったですが、仮に勝率を1.5%としてみましょう。
\begin{align*} \Large \text{期待値} & = (0.015 \times 1,000,000) - (0.985 \times 10,000) \\ & = 15,000 - 9,850 \\ & = 5,150 \end{align*}公式に当てはめると期待値は5,150と出てきました。この数字が意味するのは「同じトレードルールでトレードを繰り返すと一回あたり5,150円の利益が出る」ということです。勝率1.5%ですからもちろん負けがかさみます。しかし、このトレードルールにのっとり1000回トレードすると5,150円 × 1,000回 = 5,150,000円の利益となります。
これが期待値の考え方です。少しずつ理解が深まってきたでしょうか。
それでは、先ほどの二つ目に例に挙げたトレードスタイルも試してみましょう。 リスク=10,000円、リワード=1,000円でしたね。これは平均値ととらえてくださいね。そして、仮に勝率を90%としてみましょう。
\begin{align*} \Large \text{期待値} & = (0.9 \times 1,000) - (0.1 \times 10,000) \\ & = 900 - 1,000 \\ & = -100 \end{align*}公式に当てはめると期待値は-100と出てきました。この数字が意味するのは「同じトレードルールでトレードを繰り返すと一回あたり100円の損失が出る」ということです。このトレードルールにのっとり1000回トレードすると-100円 × 1,000回 = 100,000円の損失となります。勝率が90%あるから気分よくトレードを繰り返していても、結果訪れるのは口座破産しかありません。
期待値の重要性を理解していただけたでしょうか。つまるところ、FXは期待値の考え方がないと破産の可能性が高まります。騙されたと思って期待値の公式だけ頭に入れといてください。
ここで皆さんが気になるのは「トレードルール」ですよね。それを教えろよと(笑)しかしながら、トレードルールや手法の上っ面だけすくい取っても「期待値」が頭に無いとロットも考えられなければリスクリワードもコントロールできません。そして欲におぼれて確実に死にます。すみません言い方悪いですね。お亡くなりにます。今回のテーマとは違うのでお話しませんが、実際のところ、トレードルールは何でも良いんです。期待値がプラスなのであれば。MAクロスでも水平線でも、RSIでも、損失額固定でも、リスクリワード固定でも、ロット固定でも、トレードルールは各自で固めてもらえればOKです。何度も言いますが、大事なのは「同じトレードルールを守り続ける」ことです。期待値がプラスのトレードルールが見つけ、それを淡々とこなすことです。
期待値がプラスになるトレードルールの見つけ方は・・・と聞かれると、過去検証しかないです。前回お話したデモ口座でもよいですが、検証ソフトが時間効率良いのでオススメです。僕は Forex Tester 一択です。他の検証ソフト触ったことないのですが(笑)まあ、これ買っといたら大丈夫ってやつです。実は昔、FXで利益したいのに、ソフト買うのかぁ・・って僕も躊躇してたんですが、使ってみて確実に今後の損益やトレードスキルに影響してくることは分かりました。数万かかりますが、初期投資と思って買って損は無いものでした。定期的にセールやってるので、買うならセールのタイミングにしましょう。あと、VIPデータも使えるとより検証しやすいのでオススメです、がお財布と相談でOKかと思います。


過去検証は Forex tester ひとつあればまちがいなし!
期待値早見表
上記を踏まえて、リスクリワード〇〇:〇〇、勝率〇〇%のトレードを続けると期待値はいくらになるのか、というのをスプレッドシートで表にしてみました。実際にはスプレッド(手数料)がかかってきますが、この表では無視しています。目安まで。

メチャクチャ小さくなりましたが、クリックで飛べます。
この表を使うと、例えば、今の自分の平均勝率が70%だとすると、リスクリワード2:1以上の取引をすれば期待値がプラスになる、ということが可視化できたり、リスクリワード比1:3のトレードの場合、勝率は25%以上あれば期待値がプラスになる、ということが分かります。


また、「上記の表に記載されている期待値」×「許容損失」=「平均損益」という計算をすることもできます。
例えばリスクリワード比1:5、勝率30%で10,000円を許容損失額とした場合、0.8 × 1,000円 = 8,000円が1トレードあたりの平均利益となります。エントリーチャンスが月に10回くらいある、というのが大体把握できていたら月80,000円の利益を見込むことができます。
大きな目線でトレードする
このようにトレードの全体像が見えてくると落ち着いたトレードにもつながります。過去検証、そして期待値から利益を想定するところまでできたら、コツコツドカンのような無茶なトレードは無くなっていくはずです。
今回のお話をまとめておきます。
まとめ
トレードは常にリスクを伴う活動ですが、勝率とリスクリワード、期待値の概念を理解し、これらを実践に活かすことで、リスクを管理しながら利益を追求することが可能です。継続的な学習と自己分析を怠らず、自分のトレードスタイルに最適なバランスを見つけてください。過去検証で期待値プラスのトレードルールを見つけることが成功への道です。逆に言うと、期待値マイナスのトレードしかできない場合は、まだ技術不足ですので、チャート分析の能力を上げる必要があります。そのあたりはまた別の機会にお話したいと思います。
今回は少し難しく感じたかもしれませんが、とても大事なお話でした。次回は「資金管理」についてお話したいと思います。こちらも見逃せない内容となりますので、お楽しみにしてださいね!それでは今回も最後までお読みいただきありがとうございました。それでは!